第4.司法制度改革への継続的取り組み
(1) 簡裁代理権の充実
上記は、平成21年1月20日開催の司法制度推進議員連盟総会において承認可決された。
平成15年から実施された特別研修・考査により、これまでに簡裁代理等関係業務の認定を受けた司法書士は1万3000名を超え、司法書士の簡裁訴訟代理の事件数も平成15年6049件から平成20年9万1437件と着々とその実績を上げているところである。
ところで、司法書士の簡裁代理権は、簡裁で取扱う事件のすべてではなく、当事者が合意して簡裁を第一審裁判所とした場合に、訴訟物の価格が140万円を超えている場合には及ばないものとされている。
また、司法書士が簡裁の代理人として勝訴した場合に、相手方が控訴した場合の上訴審における司法書士の役割は、本人訴訟の場合の書面作成を主とするものでしかない。執行事件についても、少額訴訟(訴額60万円以下)判決による債権執行においてでしか司法書士の代理権は認められていない。
これらは、利用者たる国民にはきわめて不便な制度であるので、司法書士のこれまでの実績を踏まえた改善が必要である。
なお、合意管轄については、平成15年簡裁の事物管轄が90万円から140万円に引き上げられた際の与党政策責任者会議・司法書士制度改革プロジェクトチームの座長案でも課題として取り上げられている。
司法書士の簡裁代理権をもっと国民に利用しやすいものにするために、合意管轄による簡裁における代理権、受任事件についての執行代理権ならびに上訴審における関与権を求める。

(2) 家事事件についての司法書士の活用
上記は平成21年1月20日開催の司法制度推進議員連盟総会において承認可決された。
平成14年の司法書士法改正時の附帯決議において、家事事件代理権及び民事執行代理権については、「司法書士の簡裁訴訟代理実務の実績を踏まえて早急に検討すること」としているが、上記のように司法書士の簡裁訴訟代理実務の実績は着実に伸びている。
また、成年後見人の選任率は、ここ数年司法書士がトップになっている。
さらに、相続財産管理人選任、不在者財産管理人選任、親子間の利益相反行為における特別代理人選任については、司法書士が管理人・代理人に数多く選任されている。全国的には家事調停委員、参与員についている司法書士の数も相当数になっている。
我々は、附帯決議を実現するため、家事事件の代理権付与を継続して求めていくが、当面の措置として、家事事件の甲類審判事件についての代理権、乙類審判事件についての司法書士の補佐人としての活用の実現を求める。

(3) ADR法の「弁護士の助言措置」の適正な解釈・運用
ADRは、民事上の紛争について裁判によらず当事者の合意に基づき迅速な解決を図る裁判外紛争解決手続きである。平成19年4月にADR法が施行されたが、当初の構想どおりに認証機関設置が進んでいない。その最大の理由は、隣接士業団体のADRへの弁護士会の過度の関与である。
司法制度改革審議会の意見書は、「隣接法律専門職の活用等」において、ADRに関し次のように述べている。
「ADRを含む訴訟手続外の法律事務に関して、隣接法律専門職などの有する専門性の活用を図るべきである。具体的な関与のあり方については、弁護士法第72条の見直しの一環として、職種ごとに実態を踏まえて個別に検討し、法制上明確に位置づけるべきである。」
ADRは市民に紛争の実情に即した迅速な解決を提供するものである。従って、この制度趣旨にのっとり、多くの隣接士業団体が参加できるようADR法の運用がなされるべきである。
司法書士の専門性といえば、不動産登記・商業登記ならびに家事関係の相談及び会社法務の相談などである。さらに言えば、個人間の金銭トラブルや多重債務・消費者問題そして成年後見業務も司法書士の専門とするところである。
司法書士会がADR機関としての認証を取得する際、弁護士の関与のあり方が問題となっている。司法書士が登記業務に関連して得意とする不動産関係の問題や家事問題など、140万円をすぐに越える問題に対し、弁護士を常に同席させるような共同実施型では、「隣接法律専門職などの有する専門性の活用を図るべきである」という司法制度改革の目指すADRの趣旨を達成できるものではない。
東京司法書士会は、昨年度ADRの認証を取得したが、これは個別の弁護士と契約し、必要と思われる時に助言を求める仕組みのADRを立ち上げた。我々は、東京会のケースを司法書士の今後のADRの進む方向として注目し、さらに全国で国民の新たな紛争解決の選択肢として、司法書士によるADRが十全機能を発揮できる組織造りができるよう活動する。
(4) 登録前研修の義務化と試験合格者全員へ簡裁代理権を付与
司法書士試験合格者は、登録前に一定の期間の修習を義務づけることとし、修習課程の終了を資格取得要件とすること。また、修習過程の修了者全員に簡裁代理権を付与すること。
平成19年6月の弁理士法改正により、平成20年10月から新人弁理士は、弁理士資格を取得するに際して、試験合格後に実務修習を終了しなければならなくなり、また平成20年4月から弁理士会員は継続研修として会員研修を5年間で70単位受講することが義務づけられた。倫理の保持と高度な専門性を要求する社会的要請が求められた結果である。過去に、登録前研修を参入規制として捉える向きもあったが、今回の弁理士法改正はその障壁を解消したものとして評価できる。同様の理由で、司法書士資格も、登録前研修を条件として与えるべきである。
また、司法書士試験合格者が、簡裁代理権を取得するためには、司法書士試験と特別研修・考査(試験)の二重の試験に合格しなければならい。極めて過重な負担を強いられている。
当政治連盟は、今後の司法書士試験合格者については、司法書士試験の一層の充実と、新人研修を整備・充実し、登録前研修の義務化と合格者全員へ簡裁代理権を付与する制度になるよう司法書士法改正を求める運動をする。
