第1.司法書士業務全般に関する法律相談権の確立
上記は平成21年1月20日に開催された司法書士制度推進議員連盟総会に上程され満場一致をもって決議として承認可決がなされた。
我々司法書士は、130有余年に亘り、登記、供託、裁判事務等々において法律相談を通じて国民の権利保護に寄与してきた。
全国各地の単位会が運営している司法書士総合相談センターにおいても、日々多様な事例の相談業務(司法書士法第3条第1項第5号相談、同第7号相談)に積極的に関与しているところである。
簡裁代理権がなかった時代においては訴状の作成等、本人訴訟の場に於いて140万円に拘束されない法律相談を行ってきた実績がある。
しかし、平成14年の司法書士法の改正により、簡易裁判所における代理権を獲得した以後、「国民の司法アクセスの充実」という立法趣旨に反して、司法書士が従来から応じてきた相談について、弁護士会側の見解によって、弁護士法72条の誤った解釈運用がなされ、司法書士の相談業務の範囲が従前よりも狭められている傾向がある。
具体的には、地方自治体の行う無料相談(民事紛争が現実化しているものに限らず、紛争の予防や紛争回避のための幅広い司法書士が担う法律事務についての相談)において、弁護士会から、司法書士を相談担当者とする場合には「140万円以内の民事紛争に限る」旨の通知が出されたり、法テラスにおける情報提供業務についても、相談先の振り分けについて、「140万円以内の民事紛争」が基準とされているため、必ずしも紛争が現実化していない状況での紛争予防、紛争回避に向けた相談を司法書士に振り分けすることを排除しており、また、紛争が現実化している状況でも、当事者本人が自らの訴訟追行を希望している場合に、当該当事者からの裁判所提出書類の作成等の訴訟手続きに関する相談についても排除することになり、司法書士の果たすべき役割が不当に狭められ、国民の相談ニーズに応えられにくくなっている。
弁護士は司法制度改革による法曹人口増員策がとられ、日弁連も司法過疎解消に積極的に取り組んでいるが、2010年2月1日現在、全国地裁支部でのゼロ・ワン地域は8ヶ所あり又2009年4月1日現在、弁護士一人当たりの人口が3万人を超える地裁支部は107ヶ所ある。
このように弁護士偏在の問題は未だ解消されておらず都市集中が加速している。それにひきかえ司法書士は全国にあまねく存在している。
司法書士の相談業務の遂行が妨げられ、充分に国民の期待に応えられない場面を生じさせていることは国民の司法アクセスの充実を謳い文句とした司法制度改革の理念に逆行している。そもそも相談は受任の前段業務としてなされるもので、相談を受けることにより業務範囲か否かの判断をすることになるわけであるから、紛争の目的の価額による制限を設けることは不合理である。
特に裁判手続きとは本質的に異なる裁判外紛争解決手続きであるADRや、法テラス関連相談、消費者教育、市町村の窓口相談等においては、司法書士が利用者国民の身近な相談相手として、その専門的知見を活用し、責任を十全に果たせる制度とすることが必要である。
国民が法律家に対して相談するのは、何も紛争が生じてからはじめて相談するわけではない。紛争が生じないようにするにはどうすればよいのかといった紛争の予防あるいは紛争回避のために法律的助言を求めることが極めて多い。それが現時の社会の法的需要である。
その社会的要請を充分に受け止められずに、法律相談を紛争解決だけを目的とする相談と解し、訴訟代理権の範囲と単純に同一視し、紛争性や事件性のない法律相談まで締め出しを図る弁護士の法律事務独占の考え方は、国民の司法アクセスを逆に奪う結果となっている。
平成14年の司法書士法大幅改正から7年以上経過していることでもあり司法制度改革の理念たる国民の司法アクセス充実のためには、訴訟代理権や民事の紛争のみにとらわれない司法書士業務全般に関する「法律相談権」の確立を連合会と協力し又、議連の先生方と連携しながら実現する。
そして、司法書士業務全般に関する「法律相談権」を獲得して初めて司法書士は名実共に法律家になれるし国民の利便性も増すと考える。